生活日和~セイカツビヨリ~

年を重ねるにつれて艶のある人になりたいです。 丁寧な暮らしを重ねて、心も身体も仕事もプライベートも味のある日常に・・・。そうは思いながらも、手抜きしながら無理ない程度にゆるゆると過ごしています。

ブルガリアのマルテニツァ

ブルガリア出身の知人から、

3月1日にマルテニツァの可愛らしいお飾りをいただきました。

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マルテニツァとは

マルテニツァはブルガリアの代表的な伝統の一つであり、白と赤の糸を織り交ぜて作られた春のお守りのような飾りです。3月1日は春の訪れを祝う祝日で、3月1日になるとこのお守りを家族、恋人、友人などの親しい人に贈る習慣があります。本格的な春がやってくるまで元気に暮らせるようにマルテニツァを手首に結んだり、洋服につけたり、部屋に飾ったりする習慣が古くから伝わっています。マルテニツァはキリスト教以前からの、ブルガリアの土俗的なものだと考えられています。

 

1930年代からの伝説によるとマルテニツァはアスパルフ(644年頃 -700年頃)という第一次ブルガリア帝国の建国者の時代に始まったそうです。アスパルフがビザンチン軍を破ったとき、勝利を知らせる手紙を書き、それを白い糸で鳩の足に結びました。しかし、飛行中、鳥はビザンチンの兵士に見つかり、矢で負傷しました。傷ついた鳩がブルガリアのキャンプに到着したとき、白い糸の一部はすでに傷口からの赤い血で染められていました。

 

ブルガリアの言い伝えによると、ババ・マルタ(「マルタ」は3月のことで、「ババ」は「おばあちゃん」)という気難しい性格の女性がいます。3月の変化しやすい気候をころころと気分の変わる女性の気性にたとえています。ババ・マルタの恩恵を受けるために、毎年3月1日にブルガリア人は「チェスティタ・ババ・マルタ!」(3月おばあちゃんおめでとう。)という挨拶をしながら、紅白のお守りを交換し合います。マルテニツァはお互いの健康と幸運を祈るお守りですから、家族や友達や知人などにもらったマルテニツァを手首か胸に着けておきます。ペットと家畜にもマルテニツァを着けると元気になると言われています。赤い色はババ・マルタを笑わせ、晴天と豊作をもたらすという迷信もあります。

 

昔から春と共に「悪い事」と呼ばれる不幸が目覚めると信じられています。ある者にとって「悪い事」は病気のようなものですが、どの病気だと特定できません。この「悪い事」を撃退するのは「赤い色」で、古代のブルガリア人が「悪い事」を追っぱらうために、春の第一日目(3月1日)に赤い糸や赤い毛織物を家の前に飾りました。「悪い事」は若者たち、特に幼児や生まれたばかりの子羊、子牛、子馬にとって危険だと思われているので、老女が幼児の手首や動物の首に赤い糸を巻いて、おまじないをしました。

 

マルテニツァをずっと持っていてはいけません。春がきたサインを見たら、すぐにマルテニツァを取り外さなければなりません。3月中に春を告げるコウノトリを見かけたら、健康と幸せの願いを込めて、花が咲いている実がなる木の枝にマルテニツァを結んで、この木もこの1年健全に生きて行けると信じられています。他の言い伝えによると取り外したマルテニツァを一晩庭の石の下に置き、翌日どのような動物が糸の周辺に集まったかで、その年の健康を占うことができます。

 

3月1日が近づくと、ブルガリアのどの町にも、通りや市場にマルテニツァを売る出店が出ます。材料と大きさによって値段は20ストチンキ(12円)から2レバ(120円)の間で推移しますが、家族の分、友人の分、職場の同僚の分と買っていくと、相当な数になって、どのお店も盛況です。マルテニツァは基本的に紅白の毛糸を編んだもので、腕輪の形になっていたり、バッチになっていたりします。腕輪になっているものは腕につけ、バッチは服やカバンにつけます。バッチのマルテニツァは色々な種類がありますが、一番人気があるのは「ピジョ」(白い男の子)と「ペンダ」(赤い女の子)という人の形をしたものです。

 

伝統的なマルテニツァは基本的に羊毛、綿などの天然素材で作られます。標準は健康と豊穣を象徴する赤と白ですが、地方によって色が違って、北西部では青や緑など7色というところもあります。茜の根、タマネギ、ヨモギイラクサなどの植物系染料で染めた糸がマルテニツァにちらちら入っています。今では街中で売っているマルテニツァの大半は天然の着色料ではなくて、合成の着色料で染めたものです。

 

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 私もリビングに飾りました!